京都府|特定建築物の定期報告
特定建築物の定期報告に関することでお困りの方のために、全研本社がテックビルケアに全面協力を頂き、当メディア「トッケン指南書」を制作しました。
ここでは、京都府の特定建築物・防火設備・建築設備・昇降機に関わる定期報告について、各種定期調査や調査、報告・提出時期、初回免除制度、講習会、受付機関、報告済証、特定行政庁についてまとめています。
京都府の定期報告が必要な特定建築物について
特定建築物の定期調査
建物全体に劣化損傷や防災上の問題がないかを確認する調査
建築基準法では多くの人々が利用する建築物などについて、万が一の災害発生時に被害が拡大しないよう、その健全な維持管理の一貫として定期的に建築物の状態や関連設備などに関する定期調査と報告を義務づけており、建物の所有者や管理者は適正に調査を時失して結果を特定行政庁へ報告しなければなりません。
京都府における特定行政庁は京都府と京都市、そして宇治市の3つが指定されており、京都府においては3年に1回の頻度で有資格者による特定建築物の定期調査と報告が必要です。
防火設備の定期検査
防火扉や防火シャッターなどの防火設備を重点的に確認する検査
特定建築物の建物そのものに関する定期検査とは異なり、建物の中に設置されている防火扉や防火シャッターといった防火設備についても定期的に検査と報告を行わなければなりません。
例えば京都市においては「随時閉鎖又は作動できる防火設備(防火ダンパーを除く)」を報告対象として定めており、宇治市においては特定の用途に関する建築物で、さらに床面積200平米を超える建築物に設けられた防火設備が対象になっています。
建築設備の定期検査
建築物に設けられている建築設備の性能や機能が維持保全されているかを確認する検査
建築設備とは排煙設備や換気設備、非常用の照明装置といった各種設備であり、それらもまた定期的な検査と結果報告を行わなければなりません。
建築設備の定期検査は建築物の検査と異なり報告の頻度が年1回となっており、毎年必ずそれぞれの設備が適正に動作していることをチェックして報告することが法的義務となります。なお、設備の状態に不備や以上があった場合、安全な環境が整えられていないと判断されるため、速やかな修繕や改修による状況改善が必要です。
昇降機の定期検査
エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機などが安全に動くか確認する検査
エレベーターやエスカレーター、小荷物専用昇降機といった設備に関しても年1回の報告が義務づけられています。
また特定建築物の定期報告や防火設備、建築設備の報告に関してはそれぞれ建物の所在地を所管する土木事務所などへ報告しなければなりませんが、昇降機の定期検査に関しては一般財団法人近畿ブロック昇降機等検査協議会から必要な届出様式などを取得して報告する点に注意してください。
なお観光用エレベーターや遊戯施設も検査の対象です。
特定建築物の定期報告の4つの種類を解説
京都府の定期報告の報告・提出時期について
特定建築物の定期報告については3年に1回、その他の設備に関してはそれぞれ年1回(毎年度)の定期報告が必要です。
なお、令和元年6月25日以降の特定建築物の定期報告については、それぞれの建物の用途によって報告年度が定められており、例えば劇場や公会堂であれば令和6年・令和9年が報告年度となり、ホテルや旅館であれば令和7年・令和10年といった年度が報告時期になります。
その他、下宿や共同住宅については建物が存在する地域ごとに規定されています。
京都府の特定建築物の定期調査報告の初回免除について
建築物を新築した場合など、その施工時に検査を受けて検査済証の交付を受けている場合、その直後の報告時期に当たる定期調査・定期報告が免除される点も重要です。
例えば令和5年度に検査済証の交付を受けた特定建築物の場合、本来であれば3年後の令和8年度が報告時期になりますが、初回免除の制度によって令和8年度の報告が免除され、次の報告時期に当たる令和11年度に改めて定期調査・定期報告を行うことになるといった仕組みです。
京都府の各調査、検査の方法等について講習会について
特定建築物の定期報告やその他の設備の定期調査などに関しては、調査員・検査員として特定の資格を有している者に委託して実施してもらわなければなりません。
特定建築物の定期報告などを実施できるのは1級建築士及び2級建築士の他に、それぞれの設備に関して専門の講習会を受講して修了した者のみとなります。
なお、定期調査を有資格者が実施した後、その報告書を受け取った建物の所有者や管理者が報告書を提出することは可能です。
京都府の定期報告の受付機関
建物の所在地によって報告書の提出先が定められているため、あらかじめ報告先を確認してください。またエレベーター等に関しては一般財団法人近畿ブロック昇降機等検査協議会が報告先です。
名称 | 京都府乙訓土木事務所建築住宅課 |
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所在地 | 京都府向日市上植野町馬立8 |
問い合わせ先 | 075-931-2478 |
公式サイトURL | https://www.pref.kyoto.jp/yamashiro/kensetu/1265780103327.html |
名称 | 一般財団法人近畿ブロック昇降機等検査協議会 |
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所在地 | 大阪府大阪市中央区北浜3-1-18 島ビル6階 |
問い合わせ先 | 06-6228-1623 |
公式サイトURL | https://www.kbskk.jp/ |
調査・検査結果を報告すると発行される報告済証について
定期調査を実施して検査結果を適切に提出した後、その内容が特定行政庁などによって確認され、問題や不備がなければ報告済証が発行されます。
報告済証は建物の事務所など客観的に確認可能な場所へ掲示しておかなければならず、また行政機関などからの求めがあれば速やかに提示することも必要です。
なお報告済証が発行されるまで定期調査・定期報告は完了していないため、不備等があれば速やかに是正することが大切です。
京都府の特定行政庁について
京都府の特定行政庁は京都府、京都市、そして宇治市の3つになっています。そのため京都市と宇治市に建物が存在している場合は京都市と宇治市がそれぞれ特定行政庁として所管し、それ以外のエリアでは京都府が特定行政庁として所管するという点が重要です。
なお、京都府の中でもそれぞれの地域によって7つの受付機関が設置されており、例えば建築物の所在地が「向日市、長岡京市、大山崎町」であれば京都府乙訓土木事務所建築住宅課が提出先となり、「亀岡市、南丹市、京丹波町」であれば京都府南丹土木事務所建築住宅課といった仕組みです。
特定建築物の定期報告の4つの種類を解説